「BtoBマーケ × AI」だけを、わかる言葉で。── AIに取り残される不安を、次の一手に変えるメディア。
HOME / 記事一覧 / BtoBマーケティング基礎
BtoBマーケティング基礎

BtoBペルソナの作り方|担当者・決裁者・利用部門を分けて設計する

田
田崎 龍里(株式会社Rule 代表取締役)
2026.09.04
BtoBペルソナの作り方|担当者・決裁者・利用部門を分けて設計する

BtoBペルソナは、架空の人物を細かく設定する作業ではありません。購入に関わる人それぞれが、どの場面で何を不安に感じ、どの情報で判断するかを整理する実務の道具です。担当者だけに向けた訴求では、部門責任者や決裁者が必要とする根拠が不足し、商談や稟議が止まりやすくなります。

少人数の中小・中堅企業では、調査を長期化させるより、既存顧客へのヒアリング、商談メモ、失注理由、営業の会話記録を起点に仮説を作り、コンテンツと営業活動で確かめることが現実的です。BtoBマーケティング戦略の立て方で定めた優先市場と提供価値を前提に、誰に何を伝えるべきかを具体化します。

BtoBペルソナとは

BtoBペルソナは、優先したい企業の中にいる関係者を、役割・課題・判断基準・情報収集の仕方で表すものです。個人の年齢や趣味よりも、「どの業務を担うか」「何を失敗と考えるか」「誰に説明する必要があるか」を優先します。企業そのものを定義するICPと、企業内の関係者を理解するペルソナは、役割が異なります。

整理対象 ICP BtoBペルソナ
主な問い どの企業を優先するか 企業内の誰に何を伝えるか
観察単位 業種、規模、課題、導入条件 役割、責任、課題、判断材料
活用場面 ターゲット選定、営業優先度 コンテンツ、提案、営業会話
更新のきっかけ 市場・提供条件の変化 商談・失注・導入時の発見

ICPで「勝てる顧客企業」を選び、ペルソナで「社内の誰をどう支援するか」を決めます。両方がそろうと、広告、記事、営業資料の対象がぶれにくくなります。

最初に分けるべき4つの役割

BtoBでは、問い合わせをした人と、予算を承認する人、実際に使う人が一致しないことが珍しくありません。最初から一人の理想顧客にまとめず、少なくとも次の4つを分けて考えます。

ペルソナ設計シート
役割・課題・判断基準・情報収集を一人の関係者ごとに整理する
役割 主な関心 つまずきやすい点 有効な情報
現場担当 日々の工数、操作性、立ち上がり 使い方が想像できない 手順、画面例、導入後の変化
部門責任者 チームの成果、運用負荷、再現性 部門の優先度を上げられない 導入目的、運用体制、KPI
決裁者 投資対効果、リスク、戦略との整合 稟議の根拠が不足する 期待効果、費用の考え方、導入条件
利用部門 連携のしやすさ、定着、顧客影響 自分の仕事が増えると感じる 役割分担、連携方法、移行計画

例えば、現場担当は「作業が減るか」を知りたくても、決裁者は「なぜ今投資するのか」を確認します。同じサービスを説明する場合でも、記事の見出し、資料の構成、商談での順番を役割別に変える必要があります。

ペルソナを作る前に集める情報

ペルソナは想像だけで作らず、既存の顧客・商談データから始めます。特に営業に蓄積されている発言は、検索キーワードやコンテンツテーマを決める重要な材料です。中小企業のBtoBマーケティング戦略で扱うように、限られた予算と人員を使う企業ほど、すでに持つ記録を先に使うべきです。

情報源 確認する内容 ペルソナへの反映例
受注案件 導入の決め手、関係者、選定期間 決裁者が求めた根拠を整理する
失注案件 比較先、見送り理由、予算化の壁 訴求の不足と避けるべき約束を把握する
商談メモ 相手の言葉、質問、懸念 見出しやFAQの言葉に使う
導入支援記録 利用定着の障害、部門間の調整 利用部門向けの説明を補う
営業・CSへの聞き取り よくある誤解、成功する進め方 コンテンツと提案の優先順位を決める

情報を集める際は、「担当者は30代」などの表面的な属性より、「月末のレポート作成に何時間かかるか」「導入後に誰へ説明しなければならないか」といった業務に近い事実を残します。固有名詞や個人情報は不要です。

ペルソナ設計を進める5つの手順

ペルソナは一度で完成させるものではありません。仮説を作り、小さく使い、営業や顧客との接点で更新します。BtoBマーケティング90日ロードマップに組み込むと、立ち上げ期でも調査と実行を切り離さずに進められます。

  1. 優先する企業像を確認する。 既存顧客の中から、成果が出やすく、継続しやすい企業の共通点を整理します。
  2. 関係者を役割で書き出す。 問い合わせ者、推進者、部門責任者、決裁者、利用者を混同しません。
  3. 役割ごとの仕事と課題を記録する。 その人が達成したいこと、失敗したくないこと、現状の負荷を言葉にします。
  4. 判断基準と必要な根拠を決める。 価格だけでなく、導入容易性、支援体制、実績、セキュリティなど、役割ごとに異なる判断材料を並べます。
  5. コンテンツと営業会話で検証する。 記事の閲覧、資料請求時の質問、商談の反応を見て、仮説を更新します。
購買関係者の役割
現場担当・部門責任者・決裁者・利用部門が異なる関心で導入判断に関わる

役割別にコンテンツを設計する

一つの記事や資料にすべての説明を詰め込む必要はありません。共通の課題を説明する記事を入口にし、役割別の深い情報へ進める構成にすると、読み手が必要な情報を選べます。組織内で誰がコンテンツを作り、営業とどう共有するかは、BtoBマーケティングの組織体制とあわせて決めましょう。

ペルソナ 記事・資料のテーマ 商談で確認すること 次の導線
現場担当 手順、運用例、よくある質問 現在の作業時間と困りごと デモ、運用相談
部門責任者 KPI、体制、導入計画 チーム目標と推進体制 実行計画、比較資料
決裁者 投資判断、リスク、期待効果 経営課題と判断期限 稟議資料、経営者向け説明
利用部門 連携、定着、移行方法 他部門への影響と懸念 導入支援、連携設計

よくある失敗と防ぎ方

もっとも多い失敗は、担当者と決裁者を同じ人物として扱うことです。担当者向けに機能を詳しく説明しても、決裁者が投資の意味を理解できなければ案件は進みません。反対に、経営効果だけを強調して現場の使い方を説明しなければ、導入後の不安が残ります。

失敗 起きること 防ぎ方
属性だけで人物像を作る 施策の内容が変わらない 業務・課題・判断基準まで書く
一人に情報を詰め込む 読み手が自分向けと感じない 役割別に見出し・資料を分ける
営業記録を使わない 現場から外れた表現になる 商談の言葉と失注理由を定期的に反映する
一度作って更新しない 市場や組織の変化に追いつけない 四半期ごとに商談・受注・失注を見直す

あわせて読みたい:BtoBメッセージング設計|経営者・現場・決裁者に伝わる訴求の作り方

よくある質問

BtoBのペルソナはBtoCと何が違いますか?

BtoBでは担当者・決裁者・利用部門など複数の役割が購買に関わるため、役割ごとにペルソナを分けて作ります。

ペルソナを作るときに集めるべき情報は何ですか?

営業の商談記録、顧客インタビュー、失注理由、問い合わせ内容など、実際の顧客の声を集めます。想像だけで作ると施策に使えません。

作ったペルソナはどう活用しますか?

役割ごとに「誰に何を渡すか」を決め、記事・資料・営業トークを設計するために使います。

まとめ:ペルソナは「誰に何を渡すか」を決めるためのもの

BtoBペルソナの目的は、見栄えのよい資料を作ることではなく、購買関係者ごとに必要な情報を渡せる状態をつくることです。まずは既存の商談から4つの役割を分け、課題・判断基準・情報収集の仕方を一枚に整理してください。

ペルソナが定まると、記事、ホワイトペーパー、営業資料、商談の質問がつながります。完璧な人物像を待たず、営業との会話で確かめながら更新することが、少人数チームでも成果につながる設計になります。

AIエージェントで自動化・省力化できるBtoBマーケ業務10選_完全ガイド
この記事とあわせて読みたい無料資料
AIエージェントで自動化・省力化できるBtoBマーケ業務10選_完全ガイド
資料を無料でダウンロード →

BtoBマーケティング基礎について

まずは気軽にご相談ください。「何から始めれば?」の段階でも大丈夫です。

田
田崎 龍里(株式会社Rule 代表取締役)
株式会社Rule 代表取締役。BtoBマーケティング支援会社のターゲットメディア社、データ活用コンサル支援会社のインキュデータ社を経て、2025年4月にRuleを設立。IT・SaaS・製造業を中心に50社以上のBtoBマーケティングを支援しています。